あるたま草

毒にも薬にもなりません。のんきな毎日のひとりごと。

松本清張の文庫本その2

まだまだ飽きもせず読み漁っています。

 

◆幻華

銀座の高級クラブの栄枯盛衰の話です。やたらリアル。松本清張もよく行ってたのでしょうか。誰でも老いるのはもう悲しいけど仕方ないことなんですね。

◆絢爛たる流離

普通に面白かったです。まぁ3カラットのダイヤだけに、庶民離れした話ではありました。お金もやたらあると人が寄ってきてそらトラブルも起こるわなぁと勝手に納得する私でした。

◆隠花の飾り

面白かったです。よくこれだけ色んな女性のタイプを登場させるものだと思います。短編でも各ストーリーに深みがありました。

◆時間の習俗

「点と線」の刑事二人が登場します。意外な展開が面白かったです。写真を使ったトリックは、デジタル時代の今では不可能な話です。「旅」という雑誌に連載されたそうで、なぜか私も旅行したくなりました。

◆網

戦争を知らない私からすると登場人物の関わりの深さが分かりにくかったです。主人公の小説家は推理力ありすぎですね。

◆失踪

短編集です。解説に松本清張は「推理小説は動機もきっちり描写いないといけない」と言ってたと書かれていました。確かに。松本清張推理小説は人間の感情描写が上手くて生々しい感じがします。

◆男たちの晩節

また短編集ですが、切ない話が満載です。会社勤めの虚しさの話なんか胸に詰まります。

「男たちの晩節」の解説で松本清張の著書は750冊程度と知りました。それはなかなか読み切れない量ですね…。このエントリも分けないといけません。それにしても多作な。それもこう色んなジャンルに渡る作家は稀だそうです。推理小説だけでなく歴史小説とか。才能に恵まれた作家だったのですね。

◆虚線の下絵

普通にいそうな男性達が転落していく話の短編集です。松本清張も女は怖いっていうイメージを持ってたのでしょうか。

◆神と野獣の日

SF的小説というから、突拍子もない話かと思いきや、ありそうな話です。東日本大震災の東京の混乱も思い出されます。人間と文化や秩序の関わりが晒されて、興味深い話でした。

彩り河

銀座のクラブの話かと思ったらもっとどす黒い話でした。そもそも愛人に対して復讐かぁー、と現代の主婦としてはイマイチ感情移入しにくい話でした。久々上下巻の長編を読みました。

◆聖獣配列

また上下巻の長編。なんか冷静に考えるとありきたりな話なんですけど、飽きもせず一気に読ませるのは清張の筆力でしょうか。なんか銀座のママの成り上がりストーリーにしてもスケールが大きすぎて。ロッキード事件がモチーフだとか?一介の銀座のママが勝てるわけないわ、と思ってたら・・・。ママもかなりな頑張りでしたけどね。